点数

 

寒い。

大阪はましなほうだけど、

本当に寒すぎる。

 

大学のセンター試験と、

中学入試が1月で、

大阪の私立高校入試が2月、

大阪公立高校の入試が3月。

 

なんで受験って、

こんな寒い時期にやるんだろう。

インフルエンザも流行るから、

4月くらいがちょうどいいのにな。

なんて言ってても4月になれば、

それはそれで文句を言うんだろうな。

 

 

 

 

僕の従兄弟に、野球少年がいて、

まだ小学生だけど頑張ってる子で。

その子の父親と話したときのこと。

「大変やで、

みんな遊んでるなか、

練習せんといけんのやから

試合で勝つのは難しいよ。

レギュラー争いもあるしさ。

音楽のほうが楽そうや。」

 

そんな言葉が飛んできた。

僕は音楽をやっている。

比べるものでもないけれど、

意識しない間に、

自分と比べてしまった。

野球だけじゃなくスポーツとか、

勉強や成績も、

点数が出る。

でも、

音楽に点数はない。

スポーツで学校推薦をもらえる。

でも、

音楽で進路は決められない。

逆に少し邪魔物扱いされることだってある。

スポーツは上手くなればなるほど、

勉強はやればやるほど、

身に付いて評価される。

でも、

ギターが上手いだけじゃ、

きれいな声だけじゃ、

音楽は届かない。

 

それを誰かは、

「簡単じゃないか」

と笑った。

僕は悲しかった。

 

音楽は難しい。

聴いてくれる人がいなくても、

僕は全然いいからどうでもいいんだけど、

誰かに届けることは、

きっと、難しいことだと思う。

 

肯定があれば、

否定があって、

時たま、疑問で返されることもある。

それら全てをわかった上で、

全部認めて音楽をしなきゃいけない。

たぶん、

そんなわけはないんだろうけど、

そう思った。

 

点数は出ない。

価値観もすぐ変わる。

人によって聞こえる音は違う。

意味をどう解釈するのかも自由。

ルールなんてない。

お決まりもない。

 

ただの空気振動。

窒素約78%と酸素約20%と残りの2%。

その空気を波のように震えさせる行為が、

ヒトの耳の奥の鼓膜を震わせて、

聴覚神経が脳に音が鳴っていると伝える。

それが一定に続くと音楽になる。

それを無意識にヒトの身体は行う。

音だけじゃなく、

目も鼻も、呼吸だってそう。

 

目に見えない、

不確かな大切なものが、

点数をもたなくても、

たったそれだけが、

壊されることのない世界でありますように。